『ナショナル・ギャラリー』徘徊中の
Camelです。

セインズベリー舘を後にして、西ウィングに移動、ここには16世紀から17世紀のの絵画が揃っています。

注目作品2 ダ・ヴィンチ作<岩窟の聖母>

ギャラリーの「顔」と言えるほどの名作なんですが、ダ・ヴィンチ作<岩窟の聖母>はこの世に2枚存在していて、もう一枚はフランスのルーブル美術館に所蔵されています。

生前ダ・ヴィンチは最初にルーブル美術館所蔵のほうを制作したものの、注文主の教団からイチャモンをつけられて報酬が滞り、すったもんだの裁判沙汰の末、追加報酬とひきかえにもう一枚別のバージョンを制作することで和解した。その結果生まれたのが、ナショナル・ギャラリー所蔵の<岩窟の聖母>というわけだ。

『楽しいロンドンの美術館めぐり』出口保夫・齊藤貴子(著)

そんなわけでここにある<岩窟の聖母>は単なるコピーという見方もあったようです。

しかし2005年に赤外線調査を行なった結果、新たな下書きの後を発見。
他にもなんやかんやあって、単純にルーブル版のコピーとは言えないだろうとダ・ヴィンチ愛好家、研究家を湧かせているようです。

引き続き西ウィング

注目作品3 ハンス・ホルバイン<使節たち>

イギリスの宮廷画家だったホルバインがフランスからやってきた外交使節たちを描いた作品。

このふたり、当時まだ20代だったんだって。

見える?貫禄すごくない?

でも、確かに、よく見ると、20代の艶だわ。

ふたりの間にある小道具には意味があって、地理学・天文学・数学の教養、宮廷人としてのたしなみ(音楽の素養)を備えた教養人であることを伝えているみたい。

ただし、その楽器の弦は切られ、開かれた書物には宗教改革主導者ルターの賛美歌が記されていたり、不穏な空気が漂っています。

で極めつけはこれ。

何かわかる?

んーまだ歪んでるけど、髑髏(ドクロ)です。

髑髏や骸骨というモチーフはそれ自体、16世紀から17世紀にかけて数多く描かれた「ウァニタス」画といわれる静物画に欠かせないものであった。
 ラテン語で「虚しさ」を意味する「ウァニタス」画は、その言葉通り、この世の栄華や権勢、若さや肉体的美しさなど全て虚しく、人は常に死と、その先にある永遠の世界を想って生きねばならなぬというキリスト教的生死感(ラテン語でこれを「メメント・モリ=死を忘れるなかれ」という)を表した絵画である。

『楽しいロンドンの美術館めぐり』出口保夫・齊藤貴子(著)

なるほど、メメント・モリ=死を忘れるなかれ
それ、海外から来た使節団の肖像画に描く?

モデルになった彼らは絵の完成を見たんだろうか。
二人の顔よりも大きな見ず知らずのドクロ。
唐突に、ドクロ。
めちゃめちゃ悪意感じるけど。そういうもんじゃないのかな?
アートって難しい。

続く。