『ナショナル・ポートレート・ギャラリー』にやってきました。
Camelです。

『ナショナル・ポートレート・ギャラリー』の常設展は時代別に構成されていて、フロア2のテューダー・ギャラリーからフロア0のラーナー・ギャラリーのコンテンポラリーコレクションまで年代順に展示されています。

最上階フロアから順に展示室を巡れば、イギリス王室史をたどれる仕組みになっており、そのうちの1室に日本では考えられないテーマの部屋があります。それがこちら

「Royalty,Celebrity&Scandal」

王族のスキャンダルをテーマにした部屋です。
「正式な王、王妃だけでなくその愛人たちもしっかりご紹介しましょう」というとんでもないお部屋です。

王室にスキャンダルはつきものですが、基本的にこの部屋の主人公はこの方。

センターの大きな肖像画の恰幅のいい男性<ジョージ4世>

浪費家の享楽家である。贅を尽くした家屋敷や別荘を次々建てる。金に糸目をつけない着道楽。いうまでもなく「飲む、打つ、買う」の三拍子もそろっていて、新聞のゴシップ欄や風刺漫画にも何度も登場したとんでもない遊び人だった。

『楽しいロンドンの美術館めぐり』出口保夫・齊藤貴子(著)

好き放題の生活の末、30を過ぎてからはぷくぷく太ってしまったため、この肖像画の彼はほとんど虚像なんだとか。

彼の主なスキャンダルをご紹介します。

スキャンダル1
最初の愛人に恐喝される

皇太子時代の最初の愛人は、詩人で女優のメアリー・ロビンソン。夫のいる彼女に書いたラブレターを使って恐喝され、手切れ金を取られる。

スキャンダル2
勝手に秘密結婚

「スキャンダルルーム」のパネル脇にいるのがマリア・フィッツハーバード夫人
皇太子時代に勝手に秘密結婚、王の許可がおりず別れることに。
ジョージ4世が最後まで愛した女性はこの人だったとか、なかったとか。

スキャンダル3
借金の肩代わりを条件にやっと結婚

議会に個人的な負債を肩代わりしてもらうことを条件にドイツの公爵令嬢キャロラインとしぶしぶ結婚。
しかし新婚当初から事実上の別居状態。
正式に王に即位すると王妃キャロラインに別居中の不貞を理由に離婚を突きつけるが議会で否決される。

とにかく女性問題が多い人だったみたい。
ギャラリーでは<ジョージ4世>マリア・フィッツハーバード夫人の肖像画同士が向かいあう形で展示されていました。
スキャンダルルームでは絵画の配置で当時の人間関係が表現されていたりします。顔の向きや、視線の先にも注目です。

他にも、広いギャラリーの中で見つけられなかったのですが、あるいは現在は展示されていないのか、「陽気な国王」と呼ばれた<チャールズ2世>と彼のゆかりの女性たちもおすすめ。愛人の数は10人以上と言われる<チャールズ2世>。

ポートレイト・ギャラリーでは、主だった愛妾たちの肖像画がチャールズ2世の仰々しい姿を取り囲んで並んでいるが、中でも有名なのは、ネル・グウィンの乳房ポロリの肖像画だろう。

『楽しいロンドンの美術館めぐり』出口保夫・齊藤貴子(著)

オレンジ売りから人気女優、国王の愛妾へと上りつめた<ネル・グウィン>
なぜか彼女の肖像画は上半身ほぼ半裸状態でドレスがはだけていたり、胸元からちらりと何かが見えていたりと、悩ましげなものが多いのですが。

数あるギャラリーのコレクションの中で展示されているのは一部分のみ。
お目当の絵画が見つからないこともしばしば。
私も<ネル・グウィン>のポロリ絵画を見つけることはできませんでした。
残念。本当に。
しかしご安心あれ、ナショナル・ポートレイト・ギャラリーのサイトで所蔵作品を検索することができます。

こちらのサイトから、トップ画面の検索マークをクリック、探したい人の名前を入れると所蔵作品の全てを閲覧することができます。

気になる<ネル・グウィン>コレクションはこちら
「なぜこんなにも胸をあらわにする必要があるのか」ってぐらい晒してます。

この時のギャラリーでは常設展示の他に、90年代から活躍しているエリザベス・ペイトンの作品が時代ごとに分けられたフロアの垣根を超えて、ギャラリーのいたるところに展示されていました。

イギリスの歴史とポートレイトの今も学べる素敵なギャラリーです。

では。